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池袋乙女ロードから臓器移植、臓器売買、介護ラッパーまで [ANCHORの庭]

ここ何回かの関西テレビ「スーパーニュースアンカー」関係を整理しておきましょう。ちょっと長くなってしまうかも、、、。

特報アンカーは毎回かなり重たい内容でお届けしてますが、9月18日は異色のテーマ、「池袋乙女ロード」についてでした。別名「腐女子ロード」。「BL」(ボーイズラブ)とか「やおい」とか、実に隠微な用語の飛び交う不可思議な世界です。

番組ではそこまでキチンと触れられなかったように思いますが、こうした傾向(女の子のオタクの聖地)の源流には、「少女漫画」全盛時代に現れた一連の作家と作品、竹宮恵子「風と木の詩」、萩尾望都「トーマの心臓」、山岸凉子「日出処の天子」などがあると言われてますね。私が読んだのは山岸さんのものだけですが、とにかく想像力と構成力が凄い。そして、これらの漫画家に共通する点こそ、男性同性愛をベースにしているところ。山岸さんの「日出処の天子」では、なんと、天皇家の一員、聖徳太子をバイセクシュアルな人間として描いちゃったりしてます。まあ、乙女ロードに溢れている同人誌や漫画の類は、この男性同性愛の部分だけを取り出して、肥大化させただけなのかなあと。俗流化と言ったら身も蓋もないですけどね。今回、スタジオで「乙女ロード」の店で売られているような漫画を一冊手にとって見ましたが、思わず「(こんな内容で)一冊いくらするの?」なんて聞いてしまいました。ピーコさんにはあとで「最低のコメントだわ!」と罵られてしまいましたが(わはは)。他に言うべきことが見つからなかったもので、、、。

9月25日の特報アンカーは、「海外での心臓移植に賭ける人たち」とでもいうべき内容でした。脳死を人の死とした臓器移植法ができて9年になりますが、脳死移植の数は伸びていない。どうしても移植医療を受けたい人は、海外での移植に希望をつなぐしかない状況が続いていて、その高額の費用を賄うためのカンパ活動が必要になってくる。番組が取り上げた女性は、どこまでも状況と戦い続けるかたでした。

日本の移植医療が進まない理由の一つは、今も実際には「脳死」は人の死ではないと考える人が多いことと、68年の「和田心臓移植」の失敗によるイメージダウン、この二つの要因が決定的なのでしょう。しかし、翌週に発覚した臓器売買事件は、さらに、臓器移植を巡るおぞましい闇の存在を、私たちに気付かせてくれたように思います。こうした闇を晴らしていかなければ、臓器移植そのものに対する精神的な拒絶反応を示す人は減っていかないことも確かです。

その10月2日のスーパーニュースアンカーでは、臓器売買で初の逮捕者が出た愛媛の事件について詳しく報じました。事件そのものは、「臓器売買」案件としてはかなり特殊で、登場人物相互間に濃密な人間関係が見受けられるケースなので簡単には読み解けそうにありませんが、それでも、この事件が法律で禁止されている「臓器売買」の必要条件を満たしていることは明白です。なにしろ、腎臓提供者となった貸しビル経営者の女性が「約束のカネを払ってもらえない」と警察に事情を話したことが、事件発覚のきっかけだったのですから。女性のそうした感覚を生んだ背景に何があったのか、やがてメディアの地を這うような取材が、そのあたりを掘り起こしてくれることを期待したいと思います。

さて、この日の「特報アンカー」は、ラップミュージシャンでもある介護施設職員の男性を取り上げました。

実はつい数日前、「ブロックパーティー」というアメリカ映画(11月公開予定)を試写で観てきたところでした。2004年9月にニューヨークのブルックリンで行われたゲリラ的なライブのドキュメンタリー。それ以上の中身については敢えて記しませんが、一言で言えば、ニューヨークの黒人コミュニティーとヒップホップ音楽の由来を雄弁に物語る内容になっていて、深い感動を味わうことが出来ました。何より、音楽そのものが素晴らしかったんですけどね。エリカ・バドゥ、ジル・スコット、最高です。

日本人にとってのヒップホップというのは、どこか遠ざけられながら惹き付けられるような、一筋縄ではいかない音楽でしょうが、今回の「特報アンカー」の本当のテーマは、「コミュニティーと音楽」という大きなテーマに係わるものだったと思いました。障害者にせよ老齢者にせよ、介護の世界では非常な大問題が起こっていて、介護保険の条件切り下げの問題や、あるいは障害者自立支援法の全面施行(費用の一部負担に加えて、障害程度区分の導入)によって、ますます弱者に対して厳しいシステムとなりつつある。差別されるマイノリティーという意味では、アメリカの黒人コミュニティーと日本の介護現場には、共通している部分がある。その意味では、新しい音楽が胚胎する「場」としての共通性があると言ってもよい。日本人の介護職員ラッパーの音楽が、障害をもった聴衆の心を捉えているさまを見て、そんなことを考えていました。


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