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「いじめ」自殺の頻発にはどう対処したらいいのか [ANCHORの庭]

 10月30日のスーパーニュース・アンカーは、いつもの月曜日パターンと違い、特報アンカー(特集コーナーですね)がお休みだったので、コメンテーターとしてはかなり喋る時間がたくさんあり、有り難いことでした。

 コメントを求められた主なニュースは、岐阜県瑞浪市の女子中学生が「いじめ」を理由に自殺したと見られている事件、さらに、滋賀県栗東市の新幹線新駅問題で推進側が根拠としている「経済波及効果」の検証でした。

 「いじめ」によると思われるこどもの自殺が相次いでいて、実に悲しいことです。岐阜のケースも、公開された遺書の内容に「いじめ」を匂わせる記述があること、学校側が両親に対していったんは認めた「いじめ」の事実についてその後否定に転じたこと、同級生や同じクラブのこどもたちが「いじめ」を目撃したと言っていることなど、重要な情報が明らかになっています。今夜の各局のニュースを見ていましたら、9月には同じクラブで一年生の女子が「いじめ」のために退部を余儀なくされ、そのことを学校側も把握していながらなんの調査も行っていなかったという新事実もでてきています。どんどんと、「いじめ」の存在と学校側の怠慢を確証する方向で、ディテールが明らかになっていくことでしょう。

 しかし、今回のケースを見ていて心配になるのは、連鎖反応ということです。北海道滝川市のケースや福岡県筑前町のケースが大きく報じられ、そのことを知ったこどものなかで、同じような苦しみを抱えていた人が自殺を選んでしまったのではないかという危惧です。ここで連鎖している可能性があるのは、「報復」あるいは「あてつけ」ということです。攻撃的な自殺、つまり自爆に近い心情だったとしたら、どんなに悲惨なことでしょうか。

 自分を苛めた相手の名前を遺書に記すことで、いわば報復できると考えていたのだとしたら、これは実に無惨なことです。「いじめ」は耐え難い苦痛かもしれないけれど、死ぬことで報復すべき事柄では絶対ない。敢えて言えば、自分の命を懸けるほど価値のあることではない。どうか、こどもたちがそんな風に考え直してくれないものだろうかと、真剣に思います。逆に言えば、そんなことで失われて良いほど、あなたの命は軽くないと言ってあげたい。そう言うことができるのは家族、いや、父か母だけなのかもしれませんが。

 栗東町の新幹線新駅建設問題は、今まさに大きく動いている最中の大テーマです。「もったいない!」を旗印に、7月の知事選で建設凍結を公約した嘉田由紀子さんが当選して3ヶ月余り、いよいよ、つばぜり合いが激しくなってきました。そしてつい先ほど、栗東市議会は、「新駅建設費用の分担金支払いを凍結する」動議を、可決成立させました。ギリギリの票差だったようですが、この可決の意味するところは非常に大きい。国松市長にとっては新駅建設推進が最優先課題の一つですから、この動議可決は辞職勧告にも等しいもの。そもそも市長選で辛勝した国松氏は「民意は新駅建設推進だ!」と強気の姿勢に終始していたけれど、今日の議会では凍結派の議長が市長を批判して辞任する騒ぎがあり、さらに上記の動議可決。国松氏の市政運営は完全に行き詰まってしまっている。

 アンカーは、嘉田知事当選の日以来、この問題を取り上げ続けています。先週の10月23日には、再選されたばかりの国松市長と中継で結びました。推進派の国松氏が勝ったとはいえ、凍結派と中止派、つまり反対派は合わせて6割近い得票をしている。飽くまで強きの推進派市長に、この日の番組は厳しい質問を浴びせました。とくに、膨大な分担金と、巨額の起債による調達資金の返済に耐えていくことが、現在及び将来の栗東市に可能なのかという点については、市長は「経済波及効果がある」の一点張りで、何度も質問を受けているうち、最後には機嫌を損ねてしまわれました。私たちとしても準備に足りないところがあり、議論をその先に進めることはできませんでした。

 先週の反省を踏まえ、今週は、国松市長が言う「経済波及効果」に関して全面的に分析を行いました。国松市長が当てにしていた調査は、平成15年に新駅の「設置推進協議会」が実施した調査に基づくもので、「深度化調査」と略称されているものです。丁度、先週末にかけて滋賀県がこの「深度化調査」を再検討し発表したので、その結果(「再検証」と称される)を番組で取り上げ、当初予測の半分から三分の一程度の効果にとどまるとの結果がでたことを紹介しました。まあ、本来、公共事業としての新駅の建設是非を判断するのは「経済波及効果」ではなく、市民にとっての利便性向上と費用の比較なのでしょうが、推進側の目論見は、当てにならない「利便性向上」では市民の納得を得ることは難しいので、せめて「経済波及効果で借金なんか10年で返せるんだ」と胸を張りたかったのでしょう。しかし、それは実現不可能な数字だったということになります。当初10年で「元が取れる」と言われていたけれど、実際のところ、金利負担も合わせ考えれば、30年以上の時間が必要ということになりかねません。

 この問題、自治体が行う大規模公共事業をどう考えたらいいのかという全国的なテーマにとって、重要な事例となるものです。この先、栗東市の財政状況の分析や市民各層の意向、またJR東海が新駅建設にどのような利害を持つのかなどについても分析する必要があると思っています。


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