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先週に続いて、「あるある」問題で。 [ANCHORの庭]

  1月29日のスーパーニュース・アンカーは、先週に続き、冒頭で「発掘あるある大辞典Ⅱ」のデータ捏造問題を取り扱いました。番組開始の一時間前に始まった役員による記者会見の模様を伝え、そしてコメントを付け加えました。

  関西テレビのバラエティー番組で起こった不祥事について、同じ関西テレビの報道番組で伝えるわけですから、勿論、やりやすい話ではありません。しかし、私の関知する報道局内でのことに限って言えば、関西テレビは今回のデータ捏造問題に対して、それなりに誠実に対処してきているように思います。少なくとも、コメンテーターとして私が発言する内容に関して、局内からは何一つ「希望」も「要望」も無く、ましてや「制限」など全くありません。コメントの長さについても、他のテーマでは考えられないほど長く保証されていて、フロアディレクターらから発言をまとめるようにとの指示さえありませんでした。そのようななか、この日の放送で私が言ったことは次のような内容でした。

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  記者会見の内容で気になるのは、関西テレビ社員のプロデューサーが七回もチェックする機会がありながら、捏造を見抜くことができなかった、としている点だ。プロデューサーによるチェックは、何回行ったかではなく、どのようなチェックをしたのかが問われる。非常に心配なのは、そのときのチェックなるものが、放送をすれば翌日にスーパーで納豆が売り切れパニックを起こすくらいに刺激的な内容になっているかいないか、そのようなチェックだったのではないかということだ。もしかしたら、人々が納豆を探し求めてパニックを起こすということが、番組の「目標」にされていたのではないか。そう考えたくなる理由がある。

 今回の内容は、納豆を朝晩一パックずつ食べればダイエットになるというものだった。この量は、一日に摂る納豆の量としては多すぎると指摘する専門家もいる。大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモン様の働きをするので、過剰摂取の問題があるのだ。そのような危険を顧みることもなく番組でこの提案を行ったのは、人々に不必要なほど大量の納豆を買わせることによって、容易にパニック状態を作り出そうという意図があったのではないか(パニックが起きれば、番組の「名声」は自動的に高まり、さらに高い視聴率に繋がる計算があったかもしれない)。「今回は単なる視聴率至上主義とは違っている」、こんなことを先週から言い続けているのは、こうしたことが念頭にあったからだ。

 健康情報にせよダイエット情報にせよ、科学的な実験を使い、科学者のコメントを付すことが常態となっているような番組作りについては、絶対に必要なことがある。それは、外部の第三者による、科学的なチェックだ。「科学アドバイザー」のような存在が不可欠だと思う。(以上)

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* 因みに、数は少ないけれど、自らを科学ジャーナリストと規定するような人もいる。その中には、駆け出しの研究者では太刀打ちできないほど科学各分野についての識見を備えている人もいる。今回のように、推論の過程で明らかなミスを犯しているような場合には、科学アドバイザーが目を通せばすぐにNGとなっただろう。勿論、こうした人の意見を真摯に受け止めるような態度が、プロデューサーらに求められることは当然だが。本来は「科学番組チェック機構」とでもいうようなNPOがあって、こうした要望に応えるリソースを提供するべきなのかもしれないが、当面は、個々の局が、こうした人材にチェックさせるのが良いと思う。発言に重みを持たせる必要があるなら、編成局長や報道局長、あるいは制作局長直属の形にして立場を強化するべきかもしれない。

* 週刊朝日による追及はその後も続いており、2月9日付の記事では、制作会社と納豆業界、一部の学者、広告代理店、そして関西テレビ自身の癒着ともたれあいの構図が問題にされていて、また新たな水準での批判が展開されている。これから先、関西テレビはこうした問題にも答えていかなければならないだろう。



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