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3月25日の<uttiiの電子版ウォッチ>(無料版) [uttiiの電子版ウォッチ]

【20150325】

【はじめに】

 昨夜に速報で入ってきた、ドイツの旅客機が南仏で墜落したとのニュースが《朝日》《読売》《毎日》各紙の1面トップ。乗員乗客150人が絶望で、日本人2人の名前か搭乗名簿にあるということで各紙最大の扱いになっているが、1面トップというのはどうだろう。《東京》だけは社会面。ブロック紙だからと思われる向きもあるかとは思うが、こちらの方が正常な感覚ではないか。大新聞が今もセンセーショナリズムに毒されていることの証左、と言いたくもなる。

 日本近代文学史上の大発見、魯迅の弟、周作人に当てて日本の文学者らが書き送った大量の手紙類が北京で発見されたニュースを、《毎日》と《朝日》が1面に載せている。《読売》は37面に小さな扱い、《東京》は強力な文化部を擁しているが、今朝は載せていない。ちょっと痛い。東京都内でも桜が咲き始めた3月25日の<uttiiの電子版ウォッチ>ウォッチをご覧ください。

*4月1日から、この<uttiiの電子版ウォッチ>はまぐまぐ!のメルマガに移行します。

メルマガID   :0001652387

メルマガタイトル:uttiiの電子版ウォッチ

対応機器    :PC・携帯向け

表示形式    :テキスト形式

発行周期    :毎週 月・火・水・木・金・土曜日

創刊日     :2015/4/1

登録料金    :324/月(税込)

お申し込みは、http://www.mag2.com/m/0001652387.html まで。

 

【ラインナップ】

1.   LCCのエアバスA320がまた墜落した。

2.   政権の意向を粛々と伝える新聞とは・・・。

3.魯迅に似ている。

4.新座市教育委員会は不思議ちゃん。

1.LCCのエアバスA320がまた墜落した。

【朝日】の1面トップは上述の通り、スペインのバルセロナを飛び立ってドイツデュッセルドルフに向かっていた旅客機が南仏の山岳地帯に墜落、乗員乗客150名が絶望視されているニュース。墜落したのは、ドイツの航空会社、ルフトハンザ子会社のLCC(ロー・コスト・キャリア)でジャーマンウイングス社のエアバス320。

関連記事は二つ。2面の「時時刻刻」では、捜索困難な現場の詳報と墜落原因の推測を試みている。この部分が興味深い。なんと、インターネット上で飛行データを提供する「フライトレーダー24」というものに掲載された「飛行記録」を参照。水平飛行に入った「約7分後に突然降下を始め、10分ほどで約7千フィート(約2100メートル)まで下りて記録が途切れた」という。まあ、飛んでいた飛行機が落ちたのだから、どこかで降下ないし急降下があったことは推測可能なので、あまり役に立つ情報ではないけれど、新聞記者がネット情報で記事を書くというのは新しいとだけ言っておこう。普段、ネットを「悪の巣窟」のように言い立てる大新聞だが、利用できそうなものは利用するようだ。墜落原因の解明につながるのは、事故機に搭載されているはずのCVT(コクピット・ボイス・レコーダー)とDFDR(デジタル・フライト・データ・レコーダー)の回収と解析を待たなければ正確なことは何も言うことができない。それよりも《朝日》は、同型機の現役機長に「爆発や撃墜による落ち方とは思えない」と言わせている。テロではないという趣旨だが、これも少々あやふやな話に聞こえる。もう一つ、LCCがヨーロッパでも急成長している状況について、ロンドンの記者が「航空情報大手OAGのサイト」を引用(またしてもネット情報だ!)。10年間で年率14%の伸びを示した驚異のLCC成長データを示している。背景にあるのは、共通市場政策によって「航空業の許認可が各国からEUに一本化された」ことがあるという。なるほど。

この事故をきっかけに、すぐにイメージできるのは、昨年暮れにインドネシアで墜落した、やはりLCCの、やはりエアバス320の事故。162人が死亡・行方不明となった事故だ。その点についての言及は全く無い。エアバス320はLCCの代名詞のような飛行機だ。それが3ヶ月間に二機落ちた。何か、示唆くらいしておくべきだろう。

2.   政権の意向を粛々と伝える新聞とは・・・。

【読売】の1面トップもドイツの旅客機が墜落した事故だが、左肩の記事が実質的には重要。沖縄県の翁長知事が作業の停止を指示した昨日のニュースに続いて、今朝の《読売》は「沖縄県指示は「無効」」との見出しで記事を掲げている。「辺野古移設菅長官「粛々と続行」」という中見出しを併せ、ストレートに安部政権の対応を記している。県知事の指示に対して、関連法の所管する林農水大臣に対し行政不服審査法に基づく「審査請求」を行ったと発表。結論が出るまでに県指示の効力を停止させるための「執行停止」も求めたという。この執行停止要求については、農水省は沖縄県に対して30日までに弁明書を出すよう求め、まあ、農水大臣が官房長官に逆らうとも思えないし、審査請求もいずれは国に有利な内容で決着、従って工事は、何の障害もなく続行されるということになると《読売》の記事は言いたいようだ。

しかし、この書きぶりはいったい何だろうか。見出しの内容はまさしくこの新聞社が「安部政権の代弁者」たらんとしていることを示しているように思える。一連の法的手続きの流れにしても、本来、私人が行政機関による公権力の行使に対して不服を申し立て、侵害された権利の回復を果たすための法制度である「行政不服審査法」使って、こともあろうに総理大臣が自ら任命した大臣に審査請求するなどと言う茶番を演じているのに、その点を全く指摘しない《読売》の神経はどうかしている。それと、《読売》には無理なことと承知の上ではあるが、官房長官が県の指示について「違法だ」「無効だ」と喚きちらしていることについても、「適法」かつ「有効」という意見を対置する余裕が欲しい。このままでは《読売》は安倍政権の公報機関誌のようになってしまう。

3.魯迅に似ている

【毎日】の1面ももちろん飛行機事故だが、存在感のある記事は左肩、「魯迅の弟宛て1400通」の見出し。既述の、日本近代文学史上の大発見の奉じ方として、このタイトルは巧い。サイドには「武者小路実篤、谷崎潤一郎……日本から400人」とあり、日中の文学者間に膨大な手紙のやりとりがあったことが直感的に分かる。魯迅の弟、周作人(顔写真付き)は明治末期、魯迅に従って来日し、多くの文学者たちと交流を持った人だという。武者小路の「新しき村」運動にも共鳴し、後に北京で支部を作ったことがあったという。戦後、日本との関係を理由に迫害され、文革時代には大量の書簡類も一時没収されていたという。戦前から戦後にまたがる時期に交わされた手紙。研究者は、周作人から日本の文学者たちに宛てた手紙の発見が欠かせないと言っている(この部分は《朝日》の記事に記載がある)。

4.新座市教育委員会は不思議ちゃん

【東京】は、旅客機事故を社会面に載せ、1面トップは「新座市が「慰安婦」展拒否」というニュース。市の施設で「慰安婦」をテーマにした展示会を企画した市民団体に対して、拒否したのは新座市教育委員会。使用要領のなかに、「啓発的な事業」は許可しないと定めてあったという。用意されていたパネルは「女たちの戦争と平和資料館」が制作したもので、全国の希望者に貸し出され、既に公共施設など17カ所で展示されたものだという。資料館の池田惠理子館長は、市教委の「自主規制」を怪しむ。

「慰安婦」については、《朝日》が吉田証言を報じた記事の取り消しをしたことが影響して、事実そのものがなかったかのような言説がまかり通る状況にある。ややこしい議論になるのを避けたいという、行政担当者の事なかれ主義が蔓延し、各地でこうした問題が起こってきている。「慰安婦」のみならず、南京事件でも、あるいは憲法九条を口にしただけで「政治的」として公共の場(公共施設、あるいは広報誌なども含めて)が排除される傾向が著しい。今回のケースは、さらに意味不明な「使用要領」なるものが登場しており、この経緯はよく分からないが、そもそも「啓発的な事業」でない事業とは何なのか。公共的な場であらゆる啓発的な事業がなされてはならないというのはどういうことなのか。誠に不思議な新座市のあり方ではある。

 26面「ニュースの追跡」では、20日の参院予算委員会で、安倍総理が答弁中、自衛隊を「わが軍」と呼んだことについて書かれている。自衛隊は軍隊ではない、だから合憲なのだという理屈をさんざん述べてきたはずなのに、これは完全に違憲の発言だ。容易ならざる事態だが、国会でも、あるいは《東京》以外のメディアについても、この問題について知らん顔のようだ。本当は1面トップでも良かったくらい。「解釈改憲」ということがよく問題視されるが、これは「口先改憲」。こんなことを許してはいけない。了。


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