SSブログ

3月30日の<uttiiの電子版ウォッチ>(無料版) [uttiiの電子版ウォッチ]

【20150330】

【はじめに】

 この<uttiiの電子版ウォッチ>(無料版)をブログ上に公開するのもあと二日のみとなってしまいました。少しはお役に立てるような情報をお届けできたのか、自信はないですが、あと二日、全力で取り組んでいきますので、どうぞご期待ください。

 さて、今朝の各紙は、さしあたって緊急重大なニュースが途切れている中、それぞれの立ち位置で独自のニュースを1面トップに採用しています。普通の言い方に直すと、要するにバラバラということですね。はは。

 《朝日》はアーミテージ・ナイ・リポートに沿って今回の安保法制の内容が作られているとの発掘スクープ、《読売》は地方議員の政務活動費に関する独自調査に基づく記事、《毎日》はナイジェリアで一層凶暴化するボコ・ハラムの蛮行を伝えるルポ、《東京》は4月から始める新しい連載企画の前振りで、終戦直後の「新円切り換え」の候補となった原画の一部が発見されたという独自ネタ。本当に驚くくらいバラバラ。優劣を付けるつもりはないですが、《朝日》と《東京》は、それぞれの仕方で「戦後70年」というものにコミットしようとする姿勢を見せ、《読売》は一種の政治スキャンダルを追う構え、そして《毎日》は刺激的な記事を際立たせようという戦略ということでしょうか。

 各紙に共通する話題が一つありました。陸上男子100メートルの桐生祥秀選手が、追い風参考ながら、日本人選手初の9秒台を記録したとのニュース。てんでバラバラの1面トップ近くに、各紙仲良く、ゴールインする桐生選手の明るい話題にあやかろうかという、今日3月30日の<uttiiの電子版ウォッチ>、ご覧ください。

*4月1日から、この<uttiiの電子版ウォッチ>はまぐまぐ!のメルマガに移行します。

メルマガID   :0001652387

メルマガタイトル:uttiiの電子版ウォッチ

対応機器    :PC・携帯向け

表示形式    :テキスト形式

発行周期    :毎週 月・火・水・木・金・土曜日

創刊日     :2015/4/1

登録料金    :324/月(税込)

お申し込みは、http://www.mag2.com/m/0001652387.html まで。

【ラインナップ】

1.陰謀論と切り捨ててしまう前に。

2.もう号泣する県議は出てこないだろうけど。

3.焦土作戦?ボコ・ハラムの残虐行為。

4.柔和な顔の野口英世博士。

陰謀論と切り捨ててしまう前に

【朝日】の1面は、「安保法制 米提言に沿う」として「知日派作成、首相答弁にも反映」とある。今回作られようとしている新たな安全保障法制の背景に「知日派による提言書」があるというニュース。それ自体は特に新しいものではないが、重要な情報がいくつか含まれている。レポートは、米国の共和・民主の知日派が「党派を超えて作った」ものであり、一回きりではなく、2000年、2007年、2012年と三回発表されている。「12年版」は集団的自衛権の行使を容認するよう勧め、ホルムズ海峡の機内除去と南シナ海の共同監視を具体的に掲げ、安倍総理の国会答弁などでの発言に反映されているとする。関連記事が2面にあり、そちらは「現場から考える安全保障法制」という連載の〈上〉に当たる。内容は、自衛隊発足前から実績のある日本の掃海技術をアメリカが欲しがっていること、昨年11月の日米共同での機雷敷設・掃海訓練の模様、そして安倍総理を含む日本政治の中枢に「湾岸トラウマ」があって「お金だけでは世界に評価されない」と思い、自衛隊の中東派遣にこだわっていることなどが書かれている。

(uttiiの眼)なんだか、情けなくて涙が出てくるような話だ。「知日派」と言えば何か実態があるかのようだが、要は「ジャパン・ハンドラーズ」と言われる連中のことであり、アメリカ国防総省に根っこを持っているのだろうが、現在の政権そのものとは距離のある数人の個人、つまりは、いくつもあるアメリカのうちのたった一つに過ぎない。その連中の書いたリポートが、選挙を通じて日本の有権者に選ばれたはずの我が総理大臣が国会で答弁した内容に反映しているというのはどう考えたら良いか。日本の独立ははまだ果たされていないと考えた方がよいのか。おそらくハンドラーズたちは巧妙で、安部晋三氏以下、保守派の政治家たちは、アメリカに付き従い、アメリカの要求を何から何まで飲むことこそが、日本が「普通の国」となり、もしかしたら世界から「尊敬される」国家になることなのだと、深く思い込まされているのではないか。「従属こそが独立の道」という逆説。ここには、『永続敗戦論』で白井聡が描いた戦後日本人の心模様に通じる精神構造が浮かび上がってくるようだ。不思議なのは、こうした屈辱的な現実(家畜人ヤプー的な)を、「知日派作成、首相答弁にも反映」などという中性的な言葉で書き連ね、記者なのか編集者なのか、とにかく「おっかなびっくり」の風情に見えることだ。こうした内容のものをトップに持ってくるにはそれなりの「勇気」が必要だったはずだが、せっかくの記事の焦点・論点を明示するという重要な仕事を蔑ろにしているようにみえる。いや、単に安倍官邸からの圧力が怖かっただけなのかもしれないが。もっとハッキリ書いて欲しい。

*いつも電子版しか見ていないのですが、たまたま紙の13版を見たら、《朝日》の見出しが違っていました!なんと、「安保法制 米が筋書き」となっているじゃないですか!「沿う」ではなくて「筋書き」!安倍内閣が骨の髄まで対米従属の内閣であることの何よりの証、という印象の見出し!ところが、電子版は「米提案に沿う」。朝日新聞デジタルを探しても、「沿う」という記事しか出てこない。これはやっちまったなと。紙の最終版も「沿う」ことにしたのでしょう。こういうのを自粛とか萎縮、というのでしょうね。ああ、恥ずかしい。最終版の14版と電子版については、官邸から怒られないように、トーンダウンしてしまった。社内で激論があったか無かったか、とにかく編集責任者は「安全策」を取ったということなのかもしれません。これが今の《朝日》ということになりますな

 今朝の《朝日》。他には3面に、辺野古の作業停止を指示した翁長沖縄県知事に対して国が取った対抗措置についての記事。行政不服審査法に基づく審査請求は、「簡易迅速な手続きによる国民の権利利益の救済」という法の趣旨に合致しないとの識者の見解を紹介している。

もう号泣する県議は出てこないだろうけど。

【読売】は地方議員の政務活動費問題。《読売》が調査したところでは、20議会で新幹線や特急の領収書が不要、7議会では航空機利用についても不要という。領収書に代わって自書したものを提出するのだが、格安運賃を利用したのに正規運賃を記載するなだの手口で差額を受け取るなどしているという。

(uttiiの眼)正規運賃との差額を「受け取る」というのは、普通に考えれば「横領」とすべきだろう。《読売》は色々蛮勇をふるうことのある新聞だが、今回はやけに慎重な書き方になっている。まあ、しかし、独自調査の結果で1面トップと胸を張るには、獲物が小さいような気もする。どこかの号泣県議のように、行ってもいない視察を年間106回同じ温泉地に通ったかのように偽装した例と比べると、どうしても「カワイイ」レベルに見えてしまうからだ。記事にインパクトがない理由はもう一つあって、それは、個別の事例でいくらの不正があったのか、具体的な金額を示せるような次元に取材が至っていない、深まっていないからだと思う。

 今朝の《読売》、他には、3面の「スキャナー」で4月1日に発足する「日本医療研究開発機構」についての記事。 

■焦土作戦?ボコ・ハラムの残虐行為。

【毎日】の1面は国際面のルポに続き、ナイジェリアの情勢。縁遠いようだが、凶暴さを増す一方の過激派組織ボコ・ハラムは、あの「イスラム国」に忠誠を誓う集団だ。今回のルポは、隣国チャドへの越境攻撃で見られた、町や村を火攻めにし、地域全体を破壊するケースだ。3面の「クローズアップ2015」になると、ややトーンの違ったルポと解説記事になる。ボコ・ハラムの凶暴化は、戦況が劣勢になっていることに対する焦りからなのだという。もともとはイスラム教徒殺害などへの怒りから支持を集めていたポコ・ハラムだが、残虐行為に対する住民による抵抗、あるいはチャド軍やニジェール軍の侵攻などがあり、追い詰められた結果のさらなる残虐行為という側面。同時に、そうした破壊行為によって生産活動が停滞し、一層の貧困化が戦闘員のリクルートを容易にするという、負のスパイラルも生じているという。

柔和な顔の野口英世博士。

【東京】の1面は、やはり強力な文化部の仕事なのか、「幻の紙幣 原画あった」とのタイトル。「終戦直後の新円切り換え」の時に、民間企業も図案の作成に加わり、候補とされたものが53点。そのうちの12点が現存したというのだが、参加企業の一つであった大日本印刷が社内に残っているのを発見したのが5年前。それを今回、東京新聞に公開したということだ。紙面には、野口英世を描いた十円紙幣と伐折羅大将の図柄を施した千円紙幣が紹介されている。

(uttiiの眼)十円紙幣の真ん中に描かれているのが野口英世というのが楽しい。この頃からなんとなく温和な表情の野口英世博士が中央に収まって、実に平和な雰囲気を醸し出している。記者も「GHQの意向を背景に武人などを用いた戦前の図側から大きな方針転換があったことがうかがえる」としているから、小生の感想もあながち的外れではないのだろう。発見された12点はいずれも採用されなかった。そもそも53点中採用されたのは原画が発見されていない5円札のもの一つだけで、千円券と五百円券は「高額紙幣はインフレを助長する」という理由で発行自体が立ち消えになったという代物。最初からそういう話にしておけば良いのに、占領軍との調整もずいぶんチグハグとしたものだったのだなあという感想。まもなく始まる「甦る経済秘史」に期待しよう。

その他、《東京》の重要な記事は、1面左に小さいが、共同通信の世論調査で「集団的自衛権の安保法制」につき、今国会での成立に反対する声が49.8%と、賛成の38.4%を上回ったとの記事。また、「一票の平等訴訟」の司法基準が甘すぎると指弾する社説(用語法に注意。「一票の格差」と言わないところが真骨頂)、さらには東電が市町村除染の費用請求に対して、2%分しか払わず、あとは拒否しているという社会面31面の記事など。了。


 


 


 


nice!(0) 

nice! 0

メルマガ登録・解除
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。