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3月31日の<uttiiの電子版ウォッチ>(無料版) [uttiiの電子版ウォッチ]

【20150331】

【はじめに】

 いよいよ、<uttiiの電子版ウォッチ>(無料版)をお届けする最後の機会となってしまいました。年度末の331日、みなさまお忙しいこととは思いますが、<uttiiの電子版ウォッチ>、お楽しみいただければ幸いです。

昨日に続き、1面トップのテーマは各紙バラバラです。《朝日》が、辺野古の新しい事態について、《読売》は南海トラフ地震の際の政府計画について、《毎日》は、ヤフーが検索結果の削除を求められたケースの新基準を発表したニュース、《東京》は福島第一原発での労働問題について。

*4月1日からこの<uttiiの電子版ウォッチ>はまぐまぐ!のメルマガに移行します。

メルマガID   :0001652387

メルマガタイトル:uttiiの電子版ウォッチ

対応機器    :PC・携帯向け

表示形式    :テキスト形式

発行周期    :毎週 月・火・水・木・金・土曜日

創刊日     :2015/4/1

登録料金    :324/月(税込)

お申し込みは、http://www.mag2.com/m/0001652387.html まで。

【ラインナップ】

1.    今頃になってようやく「移設」ではなく「新基地建設」との意見を紹介。

2.    喉まで出掛かっている「国家緊急権」。

3.    もとより「表現の自由」は絶対ではないけれど。

4.    ブラック企業、その名は東電。

今頃になってようやく「移設」ではなく「新基地建設」との意見を紹介。

【朝日】は「沖縄知事、国の姿勢批判」との大見出し。もちろん、翁長知事が工事の中止をさせた指示について、昨日、農水大臣がその効力を停止する決定をしたことに対する批判だ。当初、30日までに停止しなかった場合には「岩礁破砕許可」そのものを取り消すとしていた翁長知事は対応を明言しなかったが、「国が申し立て、国が審査する対応は公平公正に行われたのか理解できず残念だ」と国の姿勢を批判した。関連記事は3面の「時時刻刻」と38面の「止まらぬ移設 沖縄焦燥」の記事。「時時刻刻」は翁長知事が模索する「次の一手」を様々推測、「訴訟合戦は避けられない」との見方を紹介。38面は現地でこの問題に関わる様々な人々の反応などを記す。「辺野古は『移転』ではなく『新基地建設』だ。ごまかさないでほしい」という声を今頃紹介している。《東京》などは以前からそのような論点が常識だが、《朝日》は政府の言うとおり、「移設」と表現している。

uttiiの眼)予想通りの展開ではあるが、あらためて、このケースで安倍政権が行政不服審査法を使うことの不条理を強く感じる。類似のケースはやはり沖縄辺野古の問題で、2011年1月に防衛局が生物調査を行おうとして名護市に許可されず、農水大臣に審査を請求したことがあった(昨日30日付け《朝日》朝刊3面と31日付け3面「時時刻刻」)。沖縄からすれば、「またか」という感じだろう。民意に基づく沖縄側の行政行為を、無力化あるいは無化するために用いられる「法的な」常套手段ということになろうか。気になったのは、記事中、農水大臣が「移設作業を止めれば事業が大幅に遅れて普天間周辺の危険性や騒音が継続し、日米間の外交・防衛上の重大な損害が生じるとして」執行停止を判断した、と書かれていることだ。これは、政府内で沖縄県漁業規則を所管する部局である農水大臣が、自分の立場で判断すべき内容ではない。この部分は、林大臣の言葉を引用する形にはなっていないので、かなりあやふやだが、仮にこの通りだとすると、安倍内閣のこの問題に対する政治的立場を語っただけのことであって、だとすれば、翁長県知事に「国が申し立て、国が審査する対応は公平公正に行われたのか」と問われても仕方がない。大臣は、少なくとも、漁業規則に内在する論理を使って、防衛局の請求を審査すべきで、これでは「所管」させている意味がない。

辺野古の問題の現段階は、飽くまで技術的手続き的な瑕疵を県側が指摘して、工事の進捗をとりあえず押さえたいというところ。本来的な争点である、埋め立て承認の是非とは距離がある。翁長知事の闘いは、まだ始まったばかりということだ。

喉まで出掛かっている「国家緊急権」。

【読売】の1面トップは「南海トラフ地震 救助14万人を派遣」。「将来予想される南海トラフ地震直後に国や自治体が行う救助活動や物資輸送の計画を公表した」という。特徴は「14万人もの大部隊を各県に派遣する」、「自治体の要請を待たずに支援物資を輸送する『プッシュ型支援』」などだ。関連記事は38面にあるが、大地震時の救援を5分野、72時間を目標に計画化しているとのこと。1面に載せきれなかったものがはみ出してしまった形。

uttiiの眼)南海トラフ地震の際にどのような救援体制を取れば良いか、こういうことを事前に決めておくことには意味があると思う。だが、この記事が1面トップに座っているのはかなり気持ちが悪い。なぜなら、この記事、憲法改正と関係があるからだ。つい先日、礒崎陽輔首相補佐官が憲法改正について、「大災害などを想定した緊急事態条項の新設から取り組むべきだ」と発言している。「最初はできる限り合意が得られるところで行い、次からもう少し難しい問題を議論すれば良い」憲法9条改正や改憲手続きを緩和する96条改正を2段階目の課題とし、「分かりやすいところから改正する必要がある。そうすれば国民も9条などの議論の仕方が分かる」と述べたという(3月22日付け日経)。「緊急事態条項」とは別名「国家緊急権」、自然災害や戦争などの緊急事態に、憲法秩序を一時停止して、非常措置を行う政府の権限のことだ。そんな「戒厳令」のようなものが必要かどうかは大いに議論のあるところだが、大地震対策ということで具体化されていけば、国民の多くは納得してくれるだろうという目論見が政府自民党にはあるのだろう。この記事の内容的な眼目である「14万人派遣」とか「プッシュ型支援」という言葉には、「戒厳令」「憲法停止」の臭いがプンプンする。この記事、そうしたことへの批判的論点は全く書き加えられていない。「賛成するのが常識」という姿勢で書き、その記事を読ませることで、読者の「思考停止」を誘おうというのだろうか。やはり《読売》は政府自民党の広報を担っていると感じる所以でもある。

《読売》の1面左肩には辺野古の問題で、「沖縄知事、対抗措置を検討」との見出しがある。ここで林農水大臣が県の指示を一時停止した理由として書かれているのは、「(作業が続くと調査ができなくなるとは)必ずしも認められない」ということ。その結果、防衛局の主張、作業を停止すると「飛行場周辺住民の危険性や騒音の継続による損害、日米両国の信頼関係への悪影響」が生じるとの訴えを認めたという構成。《朝日》の書き方よりも決定内容のロジックに即したものになっている。ただし、そもそも行政不服審査法を使うことの問題性にいては、《読売》はやりとりのあった限りで両者の言い分を載せるのみで、批判的な解説はない。

もとより「表現の自由」は絶対ではないけれど。

【毎日】の1面は、「ヤフー、検索削除新基準」という見出し。検索結果の削除を求められた場合に、削除するかしないかの基準を明確化しておこうということ。「表現の自由」「知る権利」とプライバシーとの比較考量をする際の基準ということになる。「一般人の非公表の住所や電話番号、長期間経過した軽微な犯罪に関する情報などが記載されていれば削除する」ということのようだ。また、プライバシー侵害情報へのリンク情報については、削除を求める判決か決定がなされた場合に削除するとしているが、リベンジポルノなど権利侵害が明白で重大、緊急性がある場合には判決・決定を待たずに削除するという。欧州司法裁判所で出された判決で「忘れられる権利」が認められるようになってから、大量の削除要請があり、こうした基準作りが必要になってきた。

uttiiの眼)見出しの内容は、これだけ見ても、よほどネット関係に詳しい人でなければ理解しづらい。《毎日》のせいというわけではなく、事柄がそれだけこみ入っているということに他ならない。ネットを使ったいじめや復讐、典型的には元恋人を貶めるための「リベンジポルノ」など、ネットで情報を拡散させることによる人権侵害をどうやって防ぐかというのは頭の痛い問題だ。解決のためには、個々のケースへの対応だけに止めたり、一般にモラルに訴えたりするだけでは足りず、検索の段階で、情報へのアクセスを制限する原則、そういったものを立てる必要が生じたということでもある。ただし事後的な解決に資するため、であるが。

これらの基準によって事後的にブロックされるのはプライバシーを侵害する情報ということになっているが、検索大手が事前に、特定の情報をブロックすることが許されてしまえば、これほど恐ろしいことはない。グーグルにせよヤフーにせよ、アメリカの国家安全保障局によるインターネット傍受に協力していたことがエドワード・スノーデン氏の暴露によって一部明らかになっている。それほど信頼できる人たちではないということだ。情報は、隠されてしまえば存在しないのと同じだ。無いことになってしまえば、手の出しようもない。情報が流れている分については「不都合な真実」を探し出してその意味転換を図ることも可能だが、隠されてしまえばお手上げだ。

ブラック企業、その名は東電

【東京】の1面トップは、「休業補償 払わず混乱」という見出し。東電福島第一原発で死傷事故が相次ぎ、2週間以上作業が止まった今年1月から2月にかけて、待機分などの休業補償を当初支払わなかったため、労働者が労基署に駆け込む事態となっていた。東電は一転して支払うことにしたという。今回、事故を起こしていない会社の作業も総て停止し、「作業員らは宿舎や自宅で待機となり、実質的に拘束されていた」にも関わらず、元請けの支払い要請に対して東電は「自宅待機分などの休みは対象外」と言い張っていたという。

uttiiの眼)いやはや東電というのは凄い会社だ。自分たちは経費の全てと儲けを電気料金に上乗せする「打ち出の小槌」を振り回しておきながら、事故収束作業に携わる作業員への支払いは削減しようとする。おそらく、そのほかにも類似の事態が山のようにあるのではないかと想像する。この問題で分かるのは、ごく普通の労働環境を維持するという意味でも、東電には当事者能力が欠けているということだ。放置しておけば、事故収束作業に当たる作業員を確保することが難しくなっていく。今でも、原発事故に対する対応策の要は、東電を破綻させ、公的な管理の下に事故収束とその後の廃炉(100年は掛かるだろう)に取り組んでいくことなのではないか。

《東京》、他に1面左肩に辺野古の問題。見出しは「環境調査と関係 認めず」、さらに「農相、沖縄の主張否定」とクリアーだ。辺野古関連記事は2面にもあり、ここでも「沖縄県の不信増大」と、これから起こることに対する方向性の感覚が他社よりもずっと明確になっている。了。 


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