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天安門事件をご存じですか?(3) [uttiiの電子版ウォッチ]

前回は、北京初日の話でした。今回は、いよいよ2日目の取材についてです。

その朝は、早朝から動きました。まだ人通りの少ない時間帯にしかできなさそうな、ある作業が必要だったのです。リポーターにとって必須と言ってもいい、「立ちレポ」を撮らなければなりませんでした。「確かに現場にやってきたぞ」という、存在証明のようなものでもあります。

事件から1週間後の日曜日、6月11日の朝6時頃でしたか、ディレクターとともにホテル近くの市街地に徒歩で向かいました。驚いたことに、近くの公園には太極拳をやっている人たちがいたのです。何があっても生活のリズムを変えない人たちがそこにいました。

長閑さが漂うなか、しかし、簡単にカバンの中からカメラを取り出して撮影を始めるわけにはいきません。警察に見つかればカメラは没収されるでしょうし、下手をすれば拘束されるかもしれない。怖いのは警察だけではありません。以前にお話ししましたように、市民は既に体制側に寝返ってしまった後ですから、通報されるかもしれない。

そして、これは北京の街角に立って初めて分かったことですが、警察官(民警?)が20人くらいの隊列を組んで、頻繁に当たりを巡回しているのです。一回通り過ぎれば、次にやってくるまでに少なくとも10分くらいはありそうでした。「鬼の居ぬ間に洗濯」ではないですが、警察隊が通り過ぎるのを待って、慌ててリポートを撮ることに。

リポートというのは緊張する仕事です。私は特に下手くそでしたから、しょっちゅう間違えたりします。言い淀んだり、つっかえたり…。それでも、普段は何回でもやり直しがきくので、なんとかやりおおせることができる。でも、ここではそれは許されない。長い時間、外でカメラを回していること自体が危険なのです。幸い、このときは1回で、確か2分近い長いリポートを一言も間違えず、しかも終始カメラ目線で語りきることができました。中身はもう覚えていませんが(笑)。後で、本当に緊張すれば何でもできるものだなあとつくづく思いました。

午後、市場に行きました。死んだような北京の街の中で、市場だけは活気に溢れていました。モノを売り買いすることに熱中している時、人間は本当に生き生きとしています。市場の喧噪の中で、こちらもようやく人間らしい気持ちを取り戻せたような気がしました。

市場では1人の若い女性に、英語で声を掛けられました。何を話したか覚えていませんが、片言で数分。少なくとも、事件のことにはお互い全く触れませんでした。彼女は、外国人と何かを話したくて仕方がないような様子でした。切羽詰まったようなその表情は、事件とは全く関係のないものだったのかもしれませんが、どこか、助けを求めるような直向(ひたむ)きさに、胸を衝かれるような思いでした。

その日、私たちは北京を後にして、香港に戻ることになります。北京の空港では、驚くような映像を眼にすることになります。この続きはまた次回ということで。

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