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誕生した「小沢民主党」、幹事長は誰? [ブランチ業務日誌]

マスコミと国民注視のもとで行われた民主党の代表選挙。色々問題はあったでしょうが、瓦解寸前だった野党第一党が、再び立ち上がるきっかけとして、大変意義のあるものだったと思います。

新代表になった小沢一郎さん、投票前の演説では「私も変わらなければなりません」と、いわば「変身宣言」をしました。菅直人さんの方がハッキリと「挙党一致」という言葉を口にしていたのに対し、小沢さんは「変身」をもって、挙党一致の要請に対する答えとしたかったのでしょう。小沢さん自身が挙党一致の障害と揶揄されていたのですから「私が変わる」と言ったことの意味は大変大きい。それこそ、小沢氏に期待しながらも「壊し屋」の過去に恐怖していた人たちに、新たな希望を抱かせる言葉となったのでしょう。勿論、実際に何がどう変わるのか、見定める必要があることは言うまでもありませんが。

それにしても、演説というのは面白いものです。さすがに菅さんは、当代随一のアジテーターとしての面目躍如でした(後述するように、中身には大きな問題がありました)。対する小沢さんは「演説下手」で知られた人ですが、その小沢さんにしてはなかなかに見事な語りざまを見せてくれたように思います。ほとんどメモを見ずに喋り通した菅さんほどではありませんでしたが、小沢さん、時折メモに目を落としながらも、出来るだけ目の前にいる議員たちに顔を向け、その顔を見つめながら話そうという気持ちが出ていました。直前までどちらにするか決めていなかった若い議員の目には、そんな小沢さんの強い決意が胸に響いたのでしょう。そのせいかどうか、開票結果は47票差という大差でした。

その小沢さん、代表選会場では立派でしたが、その後のテレビ出演の中で、ちょっと失敗をしています。テレビ朝日系「報道ステーション」に出演した小沢さんに対し、一通りの質問を終えたあと、司会の古舘さんがちょっとした仕掛けを試しました。小沢さんに事件ニュースへのコメントをさせようとしたのです。ニュースは、兵庫県赤穂市の住宅火災で、幼い子ども二人が焼死した火事でした。コメントを求められた小沢さんは「痛ましい」と言ったあと、「この家はお父さんいないんでしょう?何でそうなったか分からないけど」、「離婚とかそういう社会現象が、、、」などと続けたものの、最後はシドロモドロになってしまいました。ゲストコメンテーターとして横にいた堀田力氏は「小さな子どもたちだけで家に残してはいけない、しかし、お母さんは働かなければならなかったはずだ。やはり地域の助け合いが必要だ」と慌ててコメントしていました。まあ、この答え方にも問題はあると思いますが、小沢氏が一般庶民のところで日々に生起している現実の諸問題に対して、意外に関心が薄いのではないかという危惧を抱かせるに十分なやりとりでした。

さて、代表選自体に話を戻します。菅さんの敗因の一つは、他ならぬ菅さん得意の演説の中にもありました。「衆議院議員に比べて参議院議員の扱いが低い」ことを正していくというようなことを言ったのです。これはかなり露骨な投票誘導、いわば票稼ぎのシグナルでした。民主党のグループは自民党のかつての派閥と比べてかなり緩い組織だということはよく知られています。その民主党の中にあって、参議院議員の方は、さらに各グループへの所属意識が低いとされる。今回、小沢陣営はもともと9月の代表選に備えた動きを始めていたこともあり、かなりキチンとした組織選挙の態勢を築いていたらしい。ですから、菅陣営が互角の戦いをするためには、グループに取り込まれている度合いの低い参議院議員たちの票を大量に取り込まなければ、という意識があったのでしょう。ですが、菅演説のこの部分は、一言で言えば「せこい」印象を免れませんでした。小手先の選挙戦術という印象を持たれてしまえば、衆参を問わず、演説の中身でどちらに投票するかを決めるつもりだった「党内無党派」を口説くことなど、無理な話でしょう。偽メール問題で泥にまみれ、誇りを失いかけていた若い議員たち。彼らに必要だったのは、明確な旗印であり、政治集団としての誇りだったはずだからです。

そういう意味では、菅さんには、偽メールのせいで有耶無耶になりかけている四点セット(米国産牛肉輸入再開問題・耐震偽装事件・ライブドア事件・防衛施設庁談合疑惑)や日歯連一億円裏献金問題の徹底追及など、具体的な課題を一つ一つ訴えて欲しかったように思います。ところが、具体論の代わりに菅さんが持ち出したのは、持論である「最小不幸社会の建設」の説明と因縁話でした。この説明にあたって、ハクスリーの『すばらしい新世界』(中学生の時に父親に勧められて読んだそうです)を引き合いに出した部分など、私にはほとんど意味不明でした。陳腐と言ってしまえば身も蓋もありませんが、そうですねえ、出来の悪い「青年の主張」みたいになっていたと言ったら怒られるでしょうか。

それにしても、偽メール問題で迷走し、最後は謝罪に追い込まれた前原民主党とは何だったのか。おそらく前原という人の役割は、代表選に際して沸き上がり、目に見えるようになった民主党のパワーを、いわば封印するための封緘だったのではないかと思えます。あるいは、民主党という大きなツボの上に置かれた重しの石、これが前原という人だったのではないでしょうか。小泉総理がどことなく不安そうに会見し、他の自民党有力者が次々と小沢民主党に対して「警戒警報」を出しているのを見るにつけ、つくづく「ああ、前原さんは自民党にとって大切な人だったんだなあ。小沢さんは嫌なんだなあ」と感じます。さて、今日8日中に民主党の人事が発表になりますね。ここでサプライズを用意できるようであれば、民主党、本当にメディアのことが分かるようになったんだと評価できるのですが。

*4月6日のジャムザワールドについては、別便になります。悪しからず。


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