SSブログ

地震の頻発、自殺対策基本法 [jam THE JAM]

5月4日のジャムザワールド、数日前に発覚した神奈川県平塚市の殺人事件で、なんとなく殺伐とした雰囲気が漂うゴールデンウィークの真っ直中、いつもと同じように生放送でお送りしました。

ヘッドラインニュースでもトップにこの平塚の事件を扱いました。でも、あまりに不可解なことの多い事件ですので、言えることは限られている。そこで、ニュースステーション(テレビ朝日・1985年放送開始)が始まった頃に金曜版のコーナーとして人気を博した「ニュースの故郷(ふるさと)」の手法を援用しました(覚えている人、いるかなあ)。5人が遺体で発見されたアパートのある平塚市は、戦前、海軍の火薬工場があり、終戦の一ヶ月前、大空襲を受けていたのです。戦後、空襲での死者230人を弔い、復興を誓う祭りが開かれ、翌年には「七夕祭り」として執り行われることになった、それが有名な「平塚の七夕祭り」でした。そんな土地柄と今度の事件が直接結びつくわけではありません。でも、鎮魂の大きな祈りが故郷を覆っているそのときにも、モルタルの壁の内側には、禁断の修羅の道と得体の知れぬ怨念、そして濃密な死の気配が漂っている。そんな構図を描いて、少し事件との距離を置いてみたくなったのです。身長120センチの子どもの白骨遺体、やっぱり22年前に行方不明とされた男の子である可能性が高まってきたようです。

さて、カッティングエッジは地震のお話。前日にはトンガでかなり大きな地震があり、一瞬、一昨年暮れのスマトラ沖大地震と巨大津波の恐怖を思い起こしましたが、どういう訳か、津波の規模は小さく、事なきを得ていました。電話でご出演いただいた東京大学地震研究所の山岡耕春教授のお話では、「海底の上下動がどのくらいの大きさか」によって津波の大きさは決まるということでした。マグニチュードの数字はそもそもの地震の規模を表し、実際に海底面がどのくらい動くかについては、数字とイコールではないということが、当たり前かもしれませんが、よく分かりました。因みに、津波のスピードは、震源の海が深ければ深いほど、速くなるということも大事な情報かと思います。

地震のお話、メインは、この間頻発している首都圏での地震についてでした。どうしても、首都直下型大地震だとか東海地震だとか、予想される大地震と直結して考えたくなるものですので、その点を専門家に聞くことが必要でした。結論から言えば、大きな地震とは独立した動きだろうということ。加えて、聞かずもがなかなとは思いましたが、小さな地震が頻発したからといって、地震エネルギーが放出されて大地震が遠退くということはない、早い話、良くも悪くも、大地震とは関係ないということでしたね。このところ、「耐震性」という言葉に敏感になっている私たちにとっては、やっぱり我が家は大丈夫なのか、引き続き不安に曝されるということのようです。一般住宅にせよ、原子力発電所にせよ、早く実際の耐震性を強化し確保する責任が、国にあるのだと言わざるを得ません。安全の確保に向けて、「耐震偽装事件」の教訓を早く生かさなければならないということでもあります。

ヘッドラインニュースの中で触れたように、今回のトンガ沖地震では、太平洋津波警報センターの警報が、震源に最も近いトンガに伝わらなかったという、ちょっと冗談のような失態がありました。原因は地震による停電。これも、一種の盲点でしたね。ほとんど報道されていないので、ヘッドラインの中で触れておきました。(スマトラ沖の時は、そもそもインド洋に津波警報センターが無かったので、沿岸諸国の被害は本当にひどかった。死者・行方不明者併せて30万人以上というのは、これまでのどんな自然災害よりも多い犠牲者数です。でも、トンガの状況を見れば、太平洋も大丈夫とは言い切れない。単に津波が小さくて助かっただけかもしれません。)

さて、15MINUTESは、自殺対策基本法の制定運動をしているNPO「自殺対策支援センター・ライフリンク」の清水康之さんをスタジオにお迎えしました。以前、月曜日のジャムザワールドでお招きしたこともある方でしたが、今、自殺対策基本法という法律の制定に向けて大きく動き出した清水さんたちを、再び、ジャムザワールドで注目しようと思い、この日の番組となりました。

自殺そのものは、古今東西、存在することでしょう。その時々の世相や社会の状態を反映して、多くなったり少なくなったり、それでも、絶対にゼロにはならない。そのような行為が物理的に可能である以上、そして、希望を失う人がどの社会でも出てきてしまうことから、自殺はなくならない。しかし、その社会の取り組み方如何で、自殺者を大きく減らすこともできるのではないか。社会の中に、自殺を思いとどまらせるような仕掛けを用意することができれば、死ななくて良い人が助かる、そんな発想が重要なのだと思います。

清水さんは冒頭、「私たちは、自殺を道徳的に非難することが目的なのではありません」という意味のことを言われていたのが印象的でした。さらに、自殺者の圧倒的多数を占める中年男性のおかれている現状は、この間の不景気と倒産の連鎖という経済的苦境のもと、社長による個人保証、連帯保証などによって追いつめられる状況が拡大再生産されている。そのときに、生命保険というのは、自殺によって問題を「解決」させることにつながってしまっている。これでは、社会が自殺にストップをかけるどころか、かえって促すことになってしまう。清水さんたちは、自殺を防止する責務を国に認識させ、具体的な施策として総合的な自殺対策を実施させること、そのために法律を作ろうとしているわけです。

エンディングでは、思わず、自分の親友の話をしてしまいました。高校時代に最も仲がよかった親友が、大学に入ってから飛び降り自殺をしたことです。実は、その友人以外にも、学校時代に直接知っている人の中で、自ら命を絶つことになった人が三人います。私の年齢からして、知人の自殺者が四人というのは多いのか少ないのか分かりません。

少なくとも一つ言えるのは、肉親を自殺で失った遺族は、計り知れないほど大きな衝撃を受け、周囲の無理解などからさらに長期間にわたって苦況に置かれ続けるということです。そうした遺族に必要な支援をし、勿論、一人でも「遺族」となる人を減らすことがどうしても必要です。やっぱり、国にできることがたくさんたくさんあるように思えてきました。

J-WAVE


nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

メルマガ登録・解除
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。