SSブログ

相手の基地を叩くと何がどうなるのか。 [jam THE JAM]

更新が送れ遅れになっていて申し訳ない状況になってます。順次やっていきますのでご勘弁を。

さて、7月13日のジャムザワールド、北朝鮮の弾道ミサイル発射で、日本が相手基地に対する先制攻撃能力を持つべきかどうかについて、リスナーにお尋ねしました。結果は賛成が31パーセント、反対が69パーセント。意外に拮抗している感じだなあというのが率直な感想。やっぱり北朝鮮の無法な弾道弾発射という現実に対応して、こうした議論に賛成する人がかなり多いというのも当然なのかなあと思いました。それだけ真剣にこの問題を考えている方が多い証拠でもあるでしょう。しかし、議論の中身には大きな落とし穴があると思っています。

この議論、正確を期せば「急迫時相手ミサイル基地攻撃能力待望論」とでも言ったらいいのか、表現に苦労する内容なんだけど、「日本を攻撃する明確な意思表示がある」ということと「ミサイルの発射台への設置」「燃料の注入」などの「着手行為」があった場合に、相手のミサイル基地を「限定的」に攻撃する能力なのだそうです(石破元防衛庁長官の説明)。石破氏はこれを刑法の「正当防衛」になぞらえ、「当然の権利」とするわけだけれど、ちょっと待って欲しいなあ。問題は色々あるけど、一つだけ決定的だと思われるポイントを指摘しましょう。

北朝鮮が現在保有しているミサイルを考えた場合、日本攻撃を想定した兵器はテポドンでない。あれは本来、アメリカ狙いですよね。テポドンのように数が少なく、また、発射台にミサイルが立てられ、燃料注入しているのが衛星から丸見えになってしまうような弾道弾だったら、その基地を直接攻撃することも物理的に可能かもしれない。でも、日本を狙っているのはノドンや改良型のスカッドでしょう。これらのミサイルはトレーラーに載せて移動し、予測不可能なところからいきなり撃ってくるタイプ。しかも数百発もある。北朝鮮が自分で言っているように核兵器を実際に保有していて、しかもノドンに搭載可能だったとしたなら、核弾頭付きのノドンがどこにあるかなんて皆目分からない。ありとあらゆるノドンのトレーラーを全部同時に叩かなければ、目的を達成することはできないはずです。つまり無理だということ。

もし、無理を承知で、「とりあえず、それらしいノドンを一つ二つ叩いておきました」ってことになった場合、次に何が起こるか。想像するだけでゾッとするような事態が待っている。結局、日本から全面戦争の火蓋を切ってしまうことになりかねない。石破氏などは「相手のミサイルは7分で日本に着弾するんだから、撃たれたらお仕舞いだ」と言うけれど、今度のミサイル発射で分かったように、北朝鮮はごく短時間に少なくとも6発の「日本向け弾道弾」を正確に着弾させる能力があるわけでしょう。こちらから攻撃しようがしまいが、「撃たれたらお仕舞い」に変わりはない。

核弾頭付きノドンで日本が狙われているという状況が変わらない限り、対策はただ一つ、「撃たせないようにする」ことしかありません。そして、「撃てない政治状況」が続く間に核兵器を廃棄させ、さらなる核兵器開発を断念させ、またミサイル技術の更新ができないようにしていく、つまり北朝鮮を無力化していくことが課題になるのではないでしょうか。この「待望論」に反対するだけで「平和ボケ」という言葉が投げつけられるようだけど、相手ミサイル基地を叩く能力(巡航ミサイルを考えているらしい)を持てば北朝鮮の脅威に対処できるのだと考える方が、よほど「平和ボケ」した発想だという気がする。ちょっと言い過ぎでしょうか。

その他、そもそもどうやって相手の「攻撃意思」を確認しうるのか(軍事衛星に偵察機、インテリジェンスつまりスパイでしょうか、、、)。アメリカによる「抑止力」論は放棄するのかなど、いくつも問題がありそうだけど、今回はこれのみにて。

この日のカッティングエッジでは、政治評論家の森田実さんにこの「急迫時相手ミサイル基地攻撃能力待望論」について聞きました。森田さんは、こうした議論が噴出した理由を、安倍晋三官房長官支持の勢力が、ズバリ「自民党総裁選で安倍氏を有利にするため」と解説していらっしゃいました。つまり、このことを言い出した額賀防衛庁長官、武部自民党幹事長、そして賛同するかのようなコメントをした安倍官房長官本人の意図は、本当にそのような能力が必要だと考えているのではなくて、総裁選を巡る政治力学を自陣に有利にすることにあったという話です。本当だとしたら、そんな議論に付き合って真に受けるだけ馬鹿馬鹿しいと考えるべきなのかもしれません。

さて、忌野清志郎さんの喉頭ガン。彼を最初に知ったのは70年代の終わりか80年頃だったと思います。そこから既に26年以上が経っている。年齢による衰えを感じさせない人だなあと思っていたら、残念ながら忌野さんも人の子でした。何せ喉のガンですから歌い手としてはかなり深刻ですけど、忌野さんなら、治療を経て残存させることができた能力を絞り出しすようにして、また新しい音楽を聴かせてくれるのではないか、そんな期待をしたいと思います。早く良くなってくれええ。


nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

メルマガ登録・解除
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。