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豪雨と水害、避難所生活、二次被害 [ANCHORの庭]

7月24日のスーパーニュースアンカーは、冒頭、九州中心に被害が拡がる豪雨と水害について特別に時間を割いて報じました。今回、死者・行方不明者は今のところ27名で、長野や鹿児島での犠牲者数が目立つ状況ですが、その多くが土砂崩れ・崖崩れ・土石流・鉄砲水の類によるものということがハッキリしています。水害での犠牲のなかには、河川や用水路に落ちて流されてしまう例、河川化した道路で溺死する例などもありますが、大半は上に書いたような土砂崩れなどでの死者です。

様々な対策が進んだ結果と信じたいし、また亡くなった方には全く気の毒ではありますが、今回、まだ土砂崩れによる犠牲が少ないことがかえって気になります。5日間で1200ミリ以上という記録的な雨を吸い込んだ九州各地の山が、これから各地で大規模な土砂崩れを起こさないという保証はありません。今後どれほどの雨が降るかによって大きく違ってはくるはずですが、本当の被害はむしろこれから起こるのだと覚悟をして置いた方がよいとさえ思います。早めに避難をして、それで助かればよいのですから。

13年前の同じ季節、やはり鹿児島中心に甚大な水害がありました。このときは梅雨入りの時期からずっと雨がやまず、総計1000ミリ以上の雨が降り注いだその後、7月下旬に一日数百ミリのまとまった雨が降ったため、8月に入ってから鹿児島県内の二つの河川が氾濫し、併せて80人以上が亡くなった大水害でした。このときも、死者のほとんどが、22箇所で起きた土石流という大規模な土砂崩れによるものでした。さらに11年前の82年には、やはり梅雨の終わりのこの時期、長崎県で300人近い方が犠牲になる大水害が起こっています。このとき長崎県内で起きた土砂崩れは、総計で4300箇所に及んだとされています。

この日のアンカーでは、和歌山県で行われた避難所体験訓練の模様もお伝えしました。南海地震による津波を想定して、一晩だけ「避難所生活」を経験するというユニークなもの。たった一晩でもイライラが募ったり、なかには帰ってしまう人までいたようです。私は93年7月の北海道南西沖地震とその後の津波による被害を取材したことがあります。奥尻島の青苗地区では200人近い犠牲を出した大災害でした。避難所の何カ所を取材して思ったのは、体育館のようなところでの避難生活は予想を超えて困難を伴うものだということです。トイレはすぐに詰まってしまうし、欲しいときに水がないことの苦しさ、もちろんプライバシーが全くない状態での生活。とにかく不愉快なことばかりなのです。年輩の人などは、硬い体育館の床の上で一日のほとんどを寝て過ごすしかない様子でした。

93年に北海道を取材した時点では全く気が付かなかったことですが、特に一昨年の新潟県中越地震でクローズアップされてきた「二次被害」の問題があります。こうした避難所生活のなかで、これまでも多くの人々が身体や心を傷つけられていたことが想像されます。避難所生活のなかでのストレスが原因で起こる心筋梗塞や脳梗塞、同じ姿勢を続けていたために起こってしまうエコノミー症候群(深部静脈血栓症)、避難所を避けて自家用車のなかで寝泊まりするうちに同じエコノミー症候群にかかって亡くなった方たちがいたことも分かりました。こうした避難生活を少しでも快適な方向に近づける努力は、まさしく命を救う仕事なのだということがハッキリしてきたのだと思います。災害救援ボランティアの活動の重要性は阪神淡路大震災以降、急速に認識されてきました。新潟中越地震でも、そのことが強く認識されてきたことには、こうした理由があったということを改めて知らされた思いがします。

 


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