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来月創刊予定のメルマガについて(3) [uttiiの電子版ウォッチ]

昨日アップしたものに若干加筆訂正しました。(3月7日18時20分) 


 今日の「uttiiの電子版ウォッチ」、公開がちょっと遅れて午後になってしまいました。昨晩、ある大掛かりな芝居を見に行ったのですが、帰りが0時過ぎになってしまい、さすがに早起きが辛く…。まだまだ修行が足りませんな。とほほ。ご勘弁を。

では、本日の「uttiiの電子版ウォッチ」、3600字ほどと、ちょっと長いですがお時間がありましたら是非。


 【20150306のラインナップ】

1.18歳選挙権がもたらす新たな政治対立の予感

町並みがのっぺらぼうになっていく?

3.外国人は煮て食おうが焼いて食おうが……

4.高まる自衛隊の軍靴の音

1. 18歳選挙権がもたらす新たな政治対立の予感

【朝日】は「18歳投票 来夏参院選から」として、昨日提出された6党による公職選挙法改正案をトップに持ってきている。提出者が自民党から生活の党までの6党で、加わっていない社民党も賛成、共産党は検討中だというので、おそらく明確な反対者はいないのだろう。国民投票法に合わせて公職選挙法でも有権者の範囲を拡大するだけのことなので、各政党間の有利不利とは、少なくとも表向きには無関係だから、反対する理由もなさそうだ。

だが、2面「時時刻刻」には課題が綴られている。新たに有権者に組み込まれる若者たちの関心を高め、政治に反映させていくためには、たとえば「若者向けマニフェスト」のようなものを作り、ネットでの発信を強化していく必要がある。だが、来夏の選挙で若者の投票率が低ければ、政党は有権者のわずか3%分しかない若者の利益を意識しなくなる。結局、若者自身が投票しないと政治は変わらない……。こんな《朝日》の議論の仕方は、まるで堂々巡り。どうしたら良いのかさっぱり分からない。

「最大の論点」とされているのが、教育現場の「政治的中立性」だという。早くも「日教組対策」に動き出しているという自民党保守系の若手議員は、「日教組の教員に現代史や集団的自衛権などで中立的な指導ができるのか」とする。さすがは自民党。総理でもある安部総裁が国会で「日教組!日教組!」とやじを飛ばすような政党だけあって、ニッキョーソに対する憎しみと敵意は若手に至るまで浸透しているようだ。

本質的な問題は、何が「中立」なのかということだ。ただ、「中立性」を確保するためには、対立する多様な意見を可能な限り多く紹介し、しかも、一つの見方を「注入」するような態度を教師の側が採らないことが必要で、そのような教育的態度が実効的であるためには、生徒の側に「自分でものごとを考える」思考態度が身についていなければならない。そのためには中学時代までにそうした態度を身につけるべくカリキュラムを組み、そのためには文科省の姿勢が正される必要があり、ひいてはそのような政府を作っておかなければならずと切りが無い。だいたい教育に関する議論は、循環・連鎖する因果関係の、どこか自分に一番フィットするところを摘まみ出し、そこさえ強化すればあとはうまくいくと主張。「タメになることが言えた」ような気になり、しかし結局は何を言っているのか分からなくなってしまう、そんなことが多い。そして「中立という言葉ほど政治的な言葉はない」ことに気づいて、最後の最後は、剥き出しの政治的対立に還元されていく。

《朝日》の記事は、自民党がやろうとしている「日教組対策」について、日教組関係者の、「日教組を敵にして「教育改革」を進めようとしている」との反発や、自民党ベテラン議員の、「教育現場への政治介入と受け取られるのではないか」との心配を紹介している。安倍政権の暴走ぶりからして、それは本当に心配なことだ。

2.町並みがのっぺらぼうになっていく?

【読売】は、その「18歳選挙権法案提出」を1面左肩に、トップには「ファミマとユニー統合へ」と経済記事を置いた。下半分には、右に「中国改革路線を強調」と全人代が「成長目標7%に下げ」たとの記事を習近平、李克強両首脳の写真付きで、また左側には「駐韓米大使右ほお80針」という、異例なほどに生々しい「詳細情報」(!)付きの見出しで、記事を掲げる。1面の下半分は、中国と韓国で埋めた。

1面トップは、コンビニ3位のファミマとスーパー3位ユニー、3位同紙の統合話、同じ小売りでも別業態のコンビニとスーパーが経営統合して、セブン&アイ・ホールディングスに対抗する形か。小売業というくくりでは、国内4位のグループ誕生となるらしい。コンビニだけで見ると、ファミマとサンクスがそのまま一つになれば店舗数でセブンイレブンを凌ぐことになるという。「人口減や消費税率引き上げなどで、小売業界を取り巻く環境は厳しさを増している」ので、こうした生き残りをかけた統合の動きはまだまだ続くのだろう。

経済ニュースとしてはそれ以上でも以下でもないが、筆者に頭の中には、今でさえ同じような店で埋め尽くされていると感じる商業ゾーンの外観が、さらに単調なものへと変わっていくのではないかという恐怖心が沸いてきた。特に「チェーン化」の著しい街道沿いは、セブンイレブン、ローソン、ファミマなど数種類のコンビニと、吉野家、すき家などの牛丼勢、「かつや」、ココイチ、ロイヤルホストにデニーズ、「とんでん」、ジョナサンなどのファミレス、あとは回転寿司やラーメン、焼き肉、ステーキ、パスタのチェーン店などなど、せいぜい30種類くらいのチェーンで埋め尽くされているように感じる。一概には言えないが、個人のレストランはどうしても割高に感じられるので、客は足が遠のいてしまうし、店もどんどんつぶれていく。富裕層の特殊な消費動向は別として、外食費を削ろうという意識はかなり広がっていて、「消費のグローバル化」みたいな状況はよりハッキリしてくるような気がする。経営統合は必然なのかもしれないが、町がどんどん詰まらなくなっていくのは嫌だなあ。なんとか抵抗しなくては。

3.外国人は煮て食おうが焼いて食おうが……

 【毎日】は、《読売》が1面トップに掲げたファミマ・ユニー経営統合の話題を左肩に置き、トップは「被災3県外国人実習生4300人超」との独自記事。経営次元の話よりも、労働力不足、労働問題の方を重視した。法務省入管局に取材した成果のようだ。

4300という数字は、被災でいったんは激減した実習生が、震災時を200人余上回るまでになったということ。「人手不足が深刻化している復興事業の一端を担っている」と書くが、3面関連記事にあるように、被災3県で深刻化する人手不足を、「途上国支援に名を借りた労働力確保」と指弾され劣悪な労働条件や賃金未払いなどでつとに批判されてきた「外国人技能実習制度」によって辛うじて補っている実態。その危うさに加え、実習生の過半を占める中国人は、本国の生活水準と賃金が急激に上昇するにつれ、「何が何でも日本で稼ぐ気にならない」ということになり、いつまでも日本での労働に従事してくれそうにはないという新たな困難が生じている。

 日本は、国策として「単純労働に従事する外国人労働者」を認めてこなかったことになっている。ところが、安価で使い勝手の良い労働力が欲しいという産業界のホンネを満たすため、バブル期以来、巧妙な仕掛けを用意して、実質的な外国人労働者受け入れを図ってきた。常に一定数の「不法就労者」数をベースに維持しつつ、バブル期には日系人を使うために入管法を改定(「先祖の墓参りに来日するのに仕事に就けないのは気の毒だ」という奇妙な理屈だった)、日系人たちは、バブル期には自動車や家電などの輸出産業を担い、景気が落ち込んでからは、地方の農業にまで仕事の場を広げ、やがて仕事のない人々は帰国していった。そして技能実習生制度だ。「技術移転」の名目で始まったが、アジア諸国の労働者が日本で農業や畜産、水産加工の技術を習得することにどんな意味があったのだろう。単純明快、彼らは超低賃金で立場の著しく弱い外国人労働者であり、日本人が働きたがらない悪環境の職場で働いてくれるありがたい存在だった。以前のことだが、「外国人は煮て食おうが焼いて食おうが勝手だ」と言い放った入管当局者がいたという。もういい加減こんなことは止めにしなければならない。

4.高まる自衛隊の軍靴の音

【東京】は、集団的自衛権行使を可能にする法整備についてで、政府の素案が判明したとしている。「明確な基準なく法制化」「「存立事態」追加」との見出し。昨日の《朝日》1面トップと重なるが、論点は「どういう状況が存立危機事態に当たるのかについての基準は依然、曖昧」とした点だ。記事には、存立事態に可能となる武力行使の範囲について、国会で安倍総理が「敵国への大規模空爆や地上部隊投入は否定」したのに、今回の閣議決定、素案に明記されていないとも。また、この観点は前にも出されていたが、今回の法整備のなかで国民保護法の改正を行わないのは、「国民に被害が及ぶ恐れのない状況でも、集団的自衛権の行使を想定している」からだとしている。この指摘は衝撃的だ。筆者には、安倍政権がやろうとしていることの説きがたい矛盾を見る思いがした。被害が国民に及ぶ心配がないのに、日本国の存立が危機に瀕するというのはいったいどんな事態のことか。仮に、ホルムズ海峡封鎖などのことがあったとしても、その問題を軍事的に解決しようとしている日本の姿は、日本国憲法とは相容れない。まさしく、「国際紛争を解決する手段としての戦争」を可能にしようというのだから、明確な憲法違反と愚考する。

 《東京》は、木村草太首都大学東京准教授の「閣議決定を法制化した場合、政府が要件に当てはまると強弁し、日本への武力攻撃の明白な危険がないのに、違憲な空爆や地上軍派遣をしてしまう危険が出てくるだろう」とのコメントでダメを押している。了


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