SSブログ

3月13日のuttiiの電子版ウォッチ(無料版) [uttiiの電子版ウォッチ]

遅くなりましたが、2015/03/13の分です。

お時間がありましたら、どうぞ御覧下さい。 

【20150313】

【はじめに】

 記念日という言い方は適切ではないのかもしれないが、一昨日の311のような「記念日」がやってきてはやがて過ぎ去っていく、その度に時間の連続性とその残酷さを思い知らされる。季節が巡り、同じような気候が戻ってくれば当然のように甦る過去の懐かしい思い出、そして忌まわしい出来事。だが、本当は何も戻っては来ない。時間はひとつながりに、ただ過ぎていくだけ。せめて、忌まわしき出来事が再び襲ってこないように祈り、また、襲われたとしても、未来の自分と家族、地域社会が押し流されてしまったり、邪悪な何者かに浸されて近寄ることも出来ないようになったりしないよう、世の中がもっと人の命を尊ぶ姿に生まれ変わって欲しいと願い、行動することしかできないのだ。

 以下に、震災後4年と2日後の「電子版ウォッチ」を。

 ラインナップ

1.    地方議員政活費の徹底調査が暴き出すものは?

2.《読売》が熱心なのは津波対策のみ?

3.「みなし仮設住宅」の住み替えを求める悲痛な声の意味。

    4.辺野古の海に出現した「怪物」の正体。

1.     
地方議員政活費の徹底調査が暴き出すものは?

【朝日】の1面トップは、「政活費廻り5000万円修正へ」との記事。47都道府県議会の議員で政務活動費を支給された2700人を《朝日》が独自に調査し、その使途を明らかにした結果、「不適切な処理」や「疑問が生じる事例」が見つかり、収支報告の修正総額は5000万円にのぼるという。

 都道府県議会議員に支給されている政務活動費の総額は13年度で121億円あまり。修正が必要な金額の割合は高くないが、こういう地道な調査活動には、それ自体の意味に加えて、さらに大きな問題の入り口を発見することにつながるという期待もあるのだろう。《朝日》は、「昨年9月から、議員全員の収支報告書と領収書類の写し計63万枚などを分析し、疑問が生じた支出について今年1月下旬から議員や支出先に取材した」というから壮大だ。統一地方選を控え、地方議員たちはとりわけ「政治とカネ」の問題に敏感になっており、またつながりのある国会議員たちも同様だろう。明日以降、どんな「ネタ」が出てくるのか、楽しみにしていよう。おそらく「副産物」は山のようにあるはずだ。2面には調査の詳細が、地方議員の実名とともに掲載されている。当たり前だが、この姿勢は正しい。

 1面左側には「政権、移設推進鮮明に」と、安倍政権が、沖縄県の辺野古への普天間基地「移設」を強行しようとしているとの中身の薄い記事。まあ、沖縄だったら遙か以前から毎日大きく取り上げられている問題だから、逆に唐突感が否めない。3面関連記事では、「移設阻止
決め手欠く翁長知事」との見出し。知事は「有効な対抗策を打ち出せずにいる」とか「与党内には、翁長氏の手法に物足りなさを感じる雰囲気も漂い始めている」というように、「無駄な抵抗」と言わんばかり。工事進捗を求める海兵隊司令官の発言や、「(知事は)地元の支持を取り付けるためには『移設反対』と言い続けるしかない。面会しても意味がない」との官邸サイドの発言は当然視して紹介しているところを見ると、辺野古新基地建設問題に対する《朝日》の姿勢はハッキリ政権寄りと判断されても仕方あるまい。記者の一人は政治部のようだから、《朝日》の政治部で何かが起こっている証左なのかもしれない。

 バランスをとった形なのか、17面全面を使った「オピニオン」では、沖縄生まれの芥川賞作家である目取真俊さんへのインタビュー記事が載っている。タイトルは「対立の海で」。目取真さんは、芥川賞を受賞した『水滴』で戦争の記憶、沖縄戦をテーマとした。基地問題についての政府の対応に「怒りなんか通り越して、もう憎しみに近いと思っていますよ」。「残された手段は、もう工事を直接止めるための行動しかない。他人任せではなく、自分がやるしかないんです」と語る。取材の日も、立ち入り禁止区域にカヌーで入って抗議を続けた。「安部晋三首相が沖縄県民の代表である翁長知事に会うことすら拒んでいるのは、権力による形を変えた暴力です」との言葉は多くの県民が抱いている気持ちを表している。インタビューをした萩一晶記者は、目取真さんの「憎悪がばらまかれている」という言葉に現状の深刻さを感じ取ったようだ。「安倍首相は、まずは翁長知事と会うべきだ」との「提案」は、あまりにも当然だが、正しい姿勢だと思える。

2.《読売》が熱心なのは津波対策のみ?

【読売】は、「津波警戒域 指定進まず」の記事が1面トップ。《読売》の調査によって、法に基づき「津波災害警戒区域」を指定したのは徳島県のみで、指定の前提である「浸水想定」も対象となる海岸線を持つ都道府県の過半で行われていなかった。「地価下落やイメージ悪化への懸念が住民や自治体に根強い」のが背景だと分析している。

一般に、ある危険が大きいか小さいか、切迫しているのかそうでないのか、ということを判断するのは難しい。被害があまりにも甚大な地震や津波、そして原発事故に対しては、十分すぎるほどの対策を採っておくべきだというのは国民的な合意になってしかるべき事柄だろう。だが実際には、確率的に小さいという思い込みが、必要な対策を渋らせる障害となって立ち現れてくる。《読売》は、津波に対する警戒とその対応を自治体に迫るような記事を書くなら、同様に、原発事故に対しても厳しい目を注ぐべきだろう。各紙、電力各社が古い原発5基の廃炉を決める方針との記事を載せており、《読売》も例外ではないが、原発事故に対する同紙の姿勢が垣間見えるような材料は、特に見当たらない。

3.「みなし仮設住宅」の住み替えを求める多くの声は、何を意味しているか。

【毎日】は、東電福島第一原発事故で県外に出て「みなし仮設住宅」に居住する避難者が住み替えを求めた場合の対応について、バラバラの対応になっている点を記した記事。これまで、県民健康調査を巡る様々な疑惑や、「こども被災者生活支援法」が骨抜きにされている現状などを鋭く告発してきた日野行介記者らの手によるもの。一見、ニッチな問題設定に見えるが、そうではない。みなし仮設の形で入居している例は、仮設全体のおよそ55%。つまり、過半が「みなし」仮設なのだ。仮設は原則2年間、激甚災害である今回は1年ごとの延長が可能だが、いずれにせよ扱いは「仮設」、つまりは避難の状態にあるという位置づけだ。ところが、その避難が長期化し、生活に実態が備わっていくにつれ、たとえば近隣トラブルなどの問題が大きな問題になっていく。福島への「帰還」を希望する人々のなかでも、新しい土地での生活の時間が長くなるにつれ、そこで生じた新しい問題に対処し、次第に「より快適な住まい」を求める気持ちが強くなってくる。この住み替えを巡っては、「全国知事会や山形県が柔軟な運用を認めるよう国に求め」、また日弁連も弾力的に転居を認めるよう求める意見書を出しているという。

この記事に対応して、やはり日野行介記者らによるルポ「避難者漂流」が社会面(31面)に掲載されている。

4.辺野古の海に出現した「怪物」の正体。

【東京】は、「沖縄の民意無視」との大見出し。「辺野古の海底調査再開」を1面トップに。再開された海底ボーリング調査の模様を上から撮影した写真を掲載している。この写真が実に不気味だ。黄色の海上フェンスと数珠つなぎになったピンクのブイに縁取られ、グリーンの防護シートでくるまれた四角のプラットフォーム、その角のそれぞれからは触覚のような細い柱が突き出している。この奇怪さは、珊瑚を食べ尽くして恐れられたオニヒトデのようでもあり、その醜さは安倍政権の「民意無視」の傲岸さを示して余りあるように思われる。今回の調査強行について菅官房長官が「一昨年、十六年前に時の沖縄県知事から承認をいただいた。それに基づいて粛々と工事をしていくのは問題ない」と発言したことに対し、記者自身が「こさとら過去の一時期の政治決定を盾にして、現在の民意を無視していることにほかならない」と弾劾している。29面「本音のコラム」では、沖縄出身の作家度元外務相主任分析官の佐藤優さんが「オール沖縄の支持を背景に近く翁長知事が岩礁破砕許可を取り消すと見ている」と書いている。この大問題を書き続け、伝え続けているのは《東京》のみだという点に、情けなさを感じるのは筆者だけだろうか。了。


nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

メルマガ登録・解除
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。