SSブログ

3月17日のuttiiの電子版ウォッチ(無料版) [uttiiの電子版ウォッチ]

いよいよメルマガ創刊の4月1日が近づいてきました。

直前まで、出来るだけ本番に近い形で、無料版の発行をブログ上で続けたいと思います。では本日の分を御覧下さい。

【20150317】

【はじめに】

 【朝日】は1面トップで、「プーチン氏発言 懸念必至」として、ロシア国営テレビの番組内インタビューで、「クリミアの状況がロシアに不利に展開した場合、ロシアは核戦力を臨戦態勢に置く可能性はあったか」と問われ、「我々はそれをする用意ができていた」と語ったことを大きく取り上げている。絵に描いたような「核による脅迫」だが、潜在的にはあらゆる核保有国がやっていることでもある。そのこと以上に重大なのは、クリミア半島のロシア編入を巡るプーチン氏の政治決断が、クリミアでの住民投票の後ではなく、ヤヌコビッチ政権崩壊直後、既に行われていたこと、特務機関にヤヌコビッチ氏の救出を命じたこと、クリミアの空港や議会を制圧した「謎の兵士たち」がロシア軍兵士だったことなど、これまで「疑惑」とされてきたことを全て認めてしまったことにあるように思う。ロシア系住民が多数を占め、住民投票にもそのことが反映されて「編入希望」が表明されていたことが前提にあるとはいえ、ロシアは軍事力を背景にした領土拡張を躊躇しないことが、当のプーチン氏から表明されたことは意味が大きい。ナショナリズムを操りながら政権を維持する独裁者にとっては当然の行動なのだろう。2面の「時時刻刻」が関連記事になっていて、プーチン発言の詳細、ロシアの戦術核に関する情報、核軍縮や不拡散の流れに対する逆行としての意味などが書かれている。最後に、「今年も国連総会に核軍縮決議案を提出し、唯一の被爆国として核廃絶を目指す方針」だという日本政府の話が出てくるが、年中行事化した「核廃絶の努力」ポーズはしたとしても、北方領土問題の解決を自らの政治的資源と考え「対ロ関係を冷え込ませるわけにはいかない」安倍政権には、プーチン氏を批判できないという「大人の事情」も、控えめに書き加えられている。実に情けない話だ。いや、《朝日》がではなく、安倍政権が、だが。

 1面の左肩には、《朝日》が行った全国世論調査の結果が載っている。自衛隊の海外活動拡大については反対が52%、賛成が33%。内閣支持率は4面の関連記事の方に記載があり、前回の50%から46%に微減とのこと。やはり政治とカネの問題の影響があるようだ。4面関連記事の隣には、参院予算委で下村博文文科大臣の「博友会」を巡る追及があったことが報じられている。

 【読売】の1面トップは、「免震不足 消防・病院でも」として、東洋ゴムが国の基準を満たさない免震ゴムを製造していた問題を取り上げている。《読売》の調査で、この免震ゴムが使われている建物のうち、官公庁などの具体名が判明。そのなかには地震発生時の対応拠点となることが想定されている自治体や警察、消防、病院の建物が含まれていたという。2005年に発覚した「耐震偽装事件」はデータ改ざんによる構造計算書の偽装だったが、今回は免震ゴムの試験データの改ざんによる申請書の偽装。いずれもカネのために「不良品」を安全と偽ったことになる。

民間のマンションで強度不足の免震ゴムが使われてももちろん問題だが、震災時の避難所の耐震性が不足していたのでは洒落にならない。39面には「うちは大丈夫か?」という東洋ゴムへの問い合わせが2000件を超えたとの関連記事。

この日の《読売》1面は、トップ記事よりも左肩、「消えぬ脅威
地下鉄サリン20年」特集の第一回の方が重い。1面と38面を使い、死刑執行を引き延ばさせようとするオウム側の「作戦」に照準している。1面の部分では、小池泰男(旧姓林)死刑囚が裁判で教祖や教団を否定する発言をしておきながら、教祖の三女との手紙のやりとりで、再審請求のやり方を指南し、教祖の死刑執行を引き延ばそうとしているとの主旨。《読売》は、三女が小池死刑囚との面会を求めた裁判で証拠として提出された手紙を閲覧したと、情報の出所を明らかにしている。38面では、オウムによるもう一つの死刑執行引き延ばし戦術として、他の被告人への証人出廷をあげ、実例を挙げている。平田被告の出頭理由もそのようなことになるらしい。平田被告自身、公判廷で「(自分の出頭によって)麻原以外の執行を勘弁してもらえるのではないか、という気持ちもあった」と述べている。

 31面は全面で「地下鉄サリン事件20年」と題した図解入り特集記事。他に39面で、麻原が逮捕されたときに、隠し部屋に隠れていて発見されたときの未公開写真なるものを三枚掲載、さらにサティアン全体と隠し部屋の場所を示した模式図も付けている。《読売》が言いたいのは、オウム事件は終わっておらず、弟子たちは今も麻原の支配下にあって、復活を狙っているということのようだ。そして記事のトーンは、そのようなオウムの死刑囚たちに対して、早期の死刑執行を望む遺族ベースのものとなっている。今日の《読売》は徹底してオウムを押し立てる風情だ。オウムの問題は決して終わっていないと筆者も思うけれど、分かりやすい「社会の敵」をクローズアップする狙いは、しばしば権力に不都合な何かを覆い隠す際に用いられる常套手段だということも忘れないでおこう。

地下鉄サリン事件からまる20年を迎える20日に掛けて、各紙のこの事件に対する見方の違いがクリアになっていくだろう。

 【毎日】は、「無投票の首長5割」との大見出し。「日本創生会議」が昨年推計した「消滅可能性都市」の上位100のうち、52の市町村で直近の首長選が無投票だったとしている。地方の衰退が民主主義の形骸化をもたらしているというのがこの記事の結論のようだ。該当する自治体名が全て紹介されている。そのうち半分の26市町村は二回以上連続で無投票。北海道の妹背牛町と津別町は5回連続で無投票だったなどなど、関連するデータをあれこれ弄りながら色々な数字を揚げているが、要は、高齢化や過疎化が「民主主義の基盤の揺らぎにもつながっている」と言いたいようで、その結論に筆者も異論はない。だが、あまりにもテクニカルな前提が多すぎて、無理矢理結論を引いているように見える。そもそもが、「有識者会議」の報告書をもとに「消滅可能性都市」を取り上げ、なぜか100位までの都市だけを取り出すというあたりに、人為的なものを感じてしまう。最後に、「消滅可能性都市」についてまとめた座長の増田寛也元総務大臣のコメントを紹介し、「自治力の低下」「無投票が続けば危機が人ごとになり、無力化や地域の沈滞化を招き、その地域がより消滅に近づく」と語らせている。この記事に関連記事が付いていないことから想像すると、記者が増田氏と話していて、「消滅都市の首長、無投票が多いんだよね」と語ったことをもとに、記事を一つ書き上げたという雰囲気が濃厚だ。本来なら、もっと詳細なデータの分析か、あるいは妹背牛町や津別町のルポがどこかに載っているべきテーマだろう。記事テーマの本体部分が抜け落ちてしまっている。

 【東京】は、20日に事件からまる20年を迎える地下鉄サリン事件についての特集の第一回目。「暗雲いまも 地下鉄サリン20年」を掲載。毒物学の権威で松本サリン事件の捜査協力もしたアンソニー・トゥー氏がオウム真理教の幹部だった中川智正死刑囚との七回目の面会に向かったという書き出しだ。他にも、米大統領にテロ防止対策を助言するシンクタンクの会長は、中川死刑囚と土谷正実死刑囚に十数回会っているという。記事のテーマは「オウム犠牲
学ばぬ国」。議会の独立調査委員会が911について、「CIAがテロを防ぐチャンスを10回も見逃した」と指摘し政府を批判する報告書を出したアメリカ。この点での彼我の差は覆うべくもない。記事の中には「大きな犠牲から何かを学び取ろうという謙虚さが日本の行政組織には欠落している。」とストレートだ。

 2面の「核心」では、オウムの二つの後継団体「アレフ」と「ひかりの輪」がネットを活用して若者たちを入会させ資産も増やしている現状にあるにも関わらず、被害賠償が進んでいないとしている。

 【補遺】

 自民党の三原じゅん子参議院議員が「八紘一宇という考え方を紹介したい」と委員会で発言し、物議を醸している問題。《朝日》は社会面38面の下に、《毎日》は5面政治面のベタ記事扱い、《東京》は2面に写真入り二段記事。《読売》は掲載していない。


nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

メルマガ登録・解除
 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。